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国民の健康保持と医療費の減少をめざし“ワンコイン検診”を設立

起業したくて看護医療学部に進学

起業1私は高校時代から会社を設立したいという夢を持っていました。中学と高校時代に両祖父を亡くし、その場に立ち会った影響から医療に関心を持ったこと、そして高校時代にボランティアをした老人ホームの経営に興味を持ったことから、医療と経営の関係を学ぶことを目的に大学の看護医療学部に進学しました。
大学時代から起業資金をためるために、経営を実践的に学べる医療系の経営コンサルティング会社で働き、たくさんのことを学ばせていただきました。
大学3年のとき、米国のMayo Clinicという病院に視察に行き、たまたま入った大型スーパーマーケットの店舗でMinutes Clinicという簡易的な健康診断と治療を行っている場を見たのです。医師が常駐するのではなく、医療行為もできる看護師資格を持つ「ナース・プラクティショナー」とよばれる人が、最低限の診断と治療を、短時間で、通常の病院よりも安価におこなっていました。「病院に行くほどではないけど診てもらいたい」というニーズを捉えたもので、私は「こういうことが日本でもできないか…」と考えました。

糖尿病患者さんとの出逢いに突き動かされて

予防医療のスキルを身につけながら現場でマーケティングをしたいと考えた私は、大学卒業後は大学病院の糖尿病代謝内科病棟に看護師として勤めました。そのとき、私が自身で事業化に踏み出すことになる大きなきっかけが訪れたのです。
それは入院して次の日に足が腐って切断せざるを得なかった糖尿病患者さん(フリーター/35歳)との出逢いです。彼はフリーターのため、長い間健康診断を受けていませんでした。見つかった時には手遅れで糖尿病はさらに進行し、合併症で目が見えなくなりました。彼は仕事ができなくなったため生活保護を受けるようになり、年間600万円の医療費が全て税金で支払われることになったのです。
生活習慣病は、患者さんの幸せな生活を奪うだけでなく、社会コストとしても大きな影響を及ぼすこと、そしてフリーターで健康診断を受けていなかったばかりに予防医療が全くできていなかったことに、私は強い問題意識を持つようになりました。

誰もが健診を受けやすい環境をつくるため

私はさっそくマーケティング調査をおこない、長期に渡って健診を受けていない人たちの理由は「健診の機会がない」「時間がかかる」「お金がかかる」ということを突き止めました。また、病院で生活習慣病の患者さんたちから話を聞くと「もっと簡単に健診を受けられる場があったら、自分もこうはならなかったのに」と後悔されている方がたくさんいました。これらを打開する策として、1項目500円で受けられる「ワンコイン健診」を思いつき、これで起業しようと決めたのです。
ご本人が自分で血をとる自己採血であれば医療行為にはならないことから、自己採血で血糖値や総コレステロール、中性脂肪などが測定できる「ワンコイン健診」を開発することを決めました。起業することを患者さんたちに約束して病院を退職し、2007年12月にケアプロ株式会社を設立。現在の法律でも許容される、看護師だけで対応可能な自己採血による血液検査サービスを提供するお店を始めたのです。

日常会話で健診データが語り合われる社会をつくりたい

起業1_2はじめはお客さんが来ませんでした。しかし駅前でチラシ配りをしたり、近隣の方々に挨拶回りをしたり、テレビや新聞などで取り上げてもらうなどの努力を重ねると、多くの人が来店されるようになりました。そして、店舗以外にも関東を中心に、仕事帰りや買い物の途中で気軽に立ち寄ることができるさまざまな場所で、ワンコイン健診の出張サービスを始めました。
出張サービスの場所はショッピングセンター、競輪場、パチンコ店、保険ショップ等々。ショッピングセンターでは主婦が多く、パチンコ店ではフリーターや自営業者、エキナカでは会社員が多いといったように、利用者層は場所によって異なります。すでに1000回をゆうに超えるイベントですが、今では関西でも月に10回以上イベントを開催しており、利用者がどんどん増えています。
私がめざすのは、日本人の4分の1ぐらいが美容院にいく感覚で日常的に自分の健康をチェックしていて、日常会話で健診データが語り合われる社会をつくること。その実現に向かってこれからも邁進したいと思います。

川添高志さん(保健師 看護師)
ケアプロ株式会社代表取締役
 ケアプロ株式会社>>>

※本紹介は、奈良学園看護職キャリア開発スクール発行「看護師を目指すあなたのキャリアデザイン」に掲載されたものです。