命を照らしあう福祉環境の実現に貢献

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2社会福祉法人 東大寺福祉事業団
東大寺福祉療育病院 病院長 富和清隆さん

今から約1250年前、聖武天皇は盧舎那大仏造立という大事業をすすめ、その大仏をみんなの力で造り「動物も植物も含め、共に栄える世の中にしたい」という願いを立てられました。また光明皇后も悲田院や施薬院を設立し、人々のため共に尽力されたのです。常に国民のことを考え、思いやりの心を広げようと努められたお二人の行動の原点は、お生まれになった皇太子が一歳の誕生日を迎えることなく亡くなられ たことにあります。天皇は亡き皇子の菩提を弔うために金鍾山房を建立され、後にこの山房が東大寺へと繋がっていったのです。
東大寺では、このお二人の願いをひとつの形にするため、聖武天皇1200年御遠忌記念行事として東大寺福祉事業団を設立し、昭和30年7月に肢体不自由児施設「東大寺整肢園」を開設。それが当院の原点です。当院の理念は、盧舎那大仏造立の想いに基づき、東大寺福祉療育病院を通じて、互いの命を照らしあえる福祉環境の実現に貢献するというもの。障害のある子供たちを受け入れて、命を輝かせる支援をする病院です。

社会の変化に応じて担うべき役割も変化させる

社会は常に変化し、当院が担う医療という側面も大きく変化しています。たとえば当院が設立された時代は肢体の不自由さを緩和する手術を受けられる施設は限られており、当院がそれを担っていました。しかし、肢体不自由児の手術は今では多くの病院で可能になりました。一方、肢体不自由児より障害の重い重症心身障害児がたくさん、地域で暮らしています。それなら手術は他院にお願いしてでも今取り組むべきこと、当院にしかできないことをしようじゃないかということで、手術をやめることにしました。では当院にしか出来ないことは何かを検討し、入院については次の4つの角度から子供たちを支えようと考えています。
① NICUの後方支援:脳性麻痺などの可能性がある低出生体重児の退院後をフォロー。
② ショートステイ:在宅の重症児とその家族を支援するために気軽に短期間入院できる施設。
③ 入所施設:在宅での生活が困難になった障害児・者が安心して過ごしながら、自宅外泊を自由に楽しむ長期入院支援。
④ 養育・療育:家庭の事情で自宅に戻れない障害児の豊かな成長をめざす療育。
また、当院とは別組織になりますが、“奈良親子レスパイトハウス“という法人を設立し、親子がともに生きることの意味と喜びを発見する機会をつくりたいと願って活動しています。

広い視野で自分の存在価値を明確にしてほしい

看護師になるみなさんに伝えたいのは、広い視野で支援を考える眼を養って欲しいということです。
たとえば、障害を持つ子どもたちが輝けるのは、ご家族の生活や心の安定があってこそ実現するものだと考えます。ご家族とともに自宅で暮らすのは理想ですが、ご家族がギリギリの状態で療育することで疲弊してしまってはお互いに幸せだとはいえません。ご両親が「この子の親でよかった」と思えるような支援こそが、障害を持つ子供を幸せにすることであり、そのためには私たちがご両親に心や時間の余裕を与える支援が大切だと考えます。そのために必要な支援というのは多々ありますが、当院は、すべてを自院で完結する方向で考えるのではなく、他の医療施設でできることは連携という手段をとって任せる、そして当院にしかできないことをしっかり担いながら、存在意義を明確にするという課題に向かって前進しています。
みなさん自身も、広い視野で自分の存在価値を考え、その価値を多くの人たちが“生きる”ための支援に貢献する。それが看護をめざすみなさんに課せられた課題ではないでしょうか。

東大寺福祉療育病院ホームページ>>

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