病院勤務を経て、助産院(助産所)を開設された助産師

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Q,なぜ看護師になろうと思われたのですか?

起業4A,私が産まれるときに母がお世話になった産婆さんは、私が小学校や中学校に入学するという節目にはいつも顔を見せて私の成長を一緒によころんでくださいました。私が高校生の時、父が他界したのですが、その時も産婆さんは駆けつけてくださり、私の傍で辛い私の心を無言で支えていただいたように思います。
そんな風に、私がこの世に産まれて初めて出会った人である産婆さんは、私の心の奥深くにいつもいてくれた気がして「私も誰かのこんな存在になりたい」と思ったのが今の仕事を目指すきっかけでした。
また、父が亡くなったあと。専業主婦だった母は途方に暮れました。そんな母を見て、女性でも自立できるよう手に職をつけようと考えたのが、助産師になることを決心する大きな理由になったのです。

Q,初めは病院に勤められたのでしょうか?

A、はい。助産師になった当初は病院で働きました。その後結婚し、子どもが出来て病院を退職。子育てに専念した時期もあるのですが、子どもの成長に合わせてパート勤務から現場復帰をしました。
私がお世話になった助産師学生時代の恩師が助産院(法的には助産所といいます)をしていたので、そこを手伝うようになり、病院ではなく助産院での助産に従事していました。

Q,助産院とはどのようなところですか?

A,医療処置が必要ではない、異常のない妊婦さんを受け入れて自然なお産をするところです。家庭的な雰囲気の中で、お母さんやお父さんが求めるスタイルで赤ちゃんを産むことをお手伝いします。
助産院では、妊娠中の異常がないかを定期的に診察すると同時に、お産を自分の事として捉え、自信を持って「自分の力で産む」という強い気持ちで出産に挑めるように心の準備をお手伝いします。そして臨月になり陣痛が始まったら、お母さんの産む力と赤ちゃんの産まれようとする力を最大限に惹きだせるように、旦那さんやご家族を含めてみんなで応援します。
家庭分娩を希望される場合は、陣痛が始まったら私たち助産師がお家に伺って助産をするんですよ。(心友では家庭分娩は取り扱っておりません)
また、嘱託医と提携し、異常があればすぐに診察を受けられる状況をつくることと、妊娠中4回の健診をお願いし、医師の眼でも判断を受けることで妊婦さんの安全を保障します。

Q,起業しようと思われたきっかけは何ですか?

A,助産院で働いていたころ、私の恩師である当時の院長からたくさんの事を教わりました。院長が体を壊して助産院の継続が厳しくなったときに「あなたは手の中に技術をつけたのだからその技術で生きていきなさい」という言葉をいただきました。
その言葉を重く受け止めた私は「自分の力で生きていこう」と決心して、新たな場所で助産院を開業し、今度は私が院長になりました。

Q,どんな気持ちで開院されたのでしょう?

A当院の名前は「心友助産院」。ここでお産をしたお母さんが困った時にはいつでも訪れられる場所、心の友のような存在になりたいという想いで開院し、だから「心友(こと)」という名前を付けました。
助産師は、赤ちゃんがこの世で初めて出会う人。新たな命に最初に触れるのが私たちです。それはこの仕事の醍醐味であり、だからこそ学び続けて知識を高め、責任をもって命に向き合える自分であり続けなければならないと重圧も感じています。

Q,日ごろ心がけていることはありますか?

起業4_2A,私が大切にしているのは、お母さんの「自分の力で産む」という強い気持ちを惹きだすこと。痛くて逃げ出したくなるお母さんの心を支え、全力を出し切れるよう声をかけます。また「もう外に出るときが来た」と思った赤ちゃんが、子宮の外に出ようと一生懸命出す力とお母さんの力を合わせ、そしてその力にお父さんや家族のパワーを注ぎ、みんなの心がひとつになって赤ちゃんの誕生場面が迎えられるようサポートすることを心がけるようにしています。

Q,この仕事のやりがいを教えてください

助産院は自然な形でお産をします。分娩台ではなく妊婦さんが望む場所・姿勢で、胎児と妊婦さんを中心に家族が取り囲み、みんなが必死になって力を出し合って赤ちゃんの誕生を待ちます。そして産まれた瞬間、周りの空気が変わって新しい生命の誕生を全員が心からよろこび合う、この瞬間に出会えることがこの仕事のやりがいです。
助産師は、神秘的な生命の誕生に出会える素敵な仕事であるとともに、新たな命を預かる責任の重い仕事です。それに加えて助産院の責任者という重圧もありますが、ここで産まれた命がいろんな世界に羽ばたいてくれると思うとワクワクしますね。

西川佐稲子さん(助産師 看護師)
心友(こと)助産院 院長
心友助産院>>>

※本紹介は、メヂカルフレンド社「クリニカルスタディ」2013.5月号に掲載されたものです。

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