誰もが気軽におしゃべりできる高齢者の『居場所』をつくる

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Q、看護師から起業を志されたきっかけは?

起業5新人看護師のころは急性期の病院で勤務し、急性期看護の知識や技術を学びました。その後、高齢者の方が多い病院に移ったのですが、そのとき「退院して家に帰ると家族に迷惑がかかる」と話す高齢者とたくさん出会ったのです。それがきっかけで「行き場のない高齢者を救いたい」という気持ちが沸々と湧き上がっていきました。
看護師と保健師の資格を活かし、地域で何かできないだろうか?と考えた私は、デイサービスを立ち上げたいと思うようになり、「パワーのある30代の今しかできない」と思って起業することを決意したのです。

Q,古民家デイサービスに決められたのは何故ですか?

デイサービスの開設場所を探し始め、古民家改修の事業をしている大学時代の友人に相談すると、彼女は広島県の山あいにある築約100年の古民家を紹介してくれました。初めは古民家とデイザービスを結び付けて考えてはいなかったのですが、その家に足を踏み入れると心が安らぎ「ぜひここでデイサービスをしたい」と思いました。そこで、資金を調達するために金融機関に事業企画のプレゼンテーションを重ねたところ、資金を借りることができるようになり、古民家を購入する目途が立ちました。そして一般社団法人TKC Groupを設立した後、古民家の改修工事に着工。昨年5月に古民家デイサービス『セカンドハウスYEAH YEAH YEAH』を開業しました。

Q,起業をするうえで苦労されたことはありますか?

まずは存在を知っていただくことに苦労しました。知名度ゼロからのスタートなので、作りでチラシをつくって、地域の人やケアマネジャーさんに手挨拶にまわったり、内覧会を開たり、病院にもご挨拶に行ったりして知名度を上げることから始めました。
私自身はデイサービスを開業する直前まで看護師を続けており、夜勤もしていたので体力的にかなりハードな毎日。それも苦労のひとつでしたが、夢の実現に向けて一つひとつ形にしていくプロセスは、とても楽しい時間でもありました。

Q,開設後は順調な日々だったのでしょうか

いいえ、初めは利用者さんの数が伸びず「この先どうなるんだろう?」という不安に押しつぶされそうな毎日でした。けれどもスタッフたちと一緒に「どうやって地域の人たちに良さを知っておらおうか?」と考え、動いた結果、半年後には少しずつ利用者さんが増え始め、人が人を呼んで、今ではたくさんの人たちが訪れてくださる場所になりました。
利用者さんが増えてきたときには「私たちがやろうとしていることは間違いじゃなかった」と思い、嬉しかったことは今も忘れられません。

Q,デイサービスのこだわりは?

起業5_3YEAH YEAH YEAHという名前には、「Y:野心(生きる力)、E:笑顔、A:感謝(ありがとう)、H:癒し(ほっこり)」という意味を込めています。デイサービスは元々、高齢者サロンが制度化していったものだそうですが、現在のデイサービスは癒しや安らぎが失われつつあるように思うんです。だから私は高齢者が気軽におしゃべりをしに訪れられる「縁側」や「お茶の間」のようなデイサービスをめざし、「おもてなし」の心を大切にて、利用者さんに喜んで帰っていただくことを心がけています。
また、同じ毎日の繰り返しを脱却し、少しでも違う時間を過ごしていただき、生きがいへとつながるよう考慮しながらも、看護師経験を活かして常に観察を行い、症状や変化の早期発見、家族への報告を徹底しています。

Q,仕事のやりがいを教えてください

起業5_2ご家族からの「助かっています」という言葉や施設に来られる方が「ここの若い人たちが頑張っているのを見ると自分たちも頑張れる」というようなお言葉をいただくことがあり、そんな言葉が日々の原動力になっています。
当施設はオープンして1年余りなのですが、最近は利用者さんとの心の絆が深まってきて、日々顔を合わせること自身がやりがいにつながっていますし、常勤スタッフは全員30代で高齢者の方への尊重の気持ちを持っていて、そんな仲間と一緒にサービスを創れることも喜びであり、やりがいですね。

Q.これからの目標はどんなことですか

「生きがいを持つ」というのは「自分には、まだ出来ることがある」と感じられる体験を重ねることが大切だと感じています。
身体的な衰えで諦めるのではなく、高齢者の方が持っておられる知識を活用して、若者や子どもたちに何かを伝える営みをすれば「役に立てた」という実感を持っていただけると私は思います。そういった交流の場としてもこの古民家を活用し、古きよき日本の伝統や知恵を次の世代にも伝達していける場にするのが目標です。

平見怜子さん(保健師・看護師・生活相談員) 
古民家デイサービス:セカンドハウYEAH YEAH YEAH 代表理事
セカンドハウYEAH YEAH YEAH>>>

※本紹介は、メヂカルフレンド社「クリニカルスタディ」2013.8月号に掲載されたものです。

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